2025年2月23日、ドイツで連邦議会選挙が実施されました。
今回の選挙では、最大野党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)が勝利し、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が大幅に躍進。
一方、与党である社会民主党(SPD)や緑の党は議席を大きく減らし、自由民主党(FDP)は議席ゼロとなる衝撃的な結果となりました。
今回の選挙は、ドイツ国内のみならず世界中で注目されており、今後の政治的動向が気になるところです。この記事では、選挙の仕組みや結果、各政党の勢力分布を詳しく解説し、今回の選挙の背景や今後の影響について考察します。
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選挙の仕組み
ドイツの国政選挙にあたる連邦議会選挙は4年に1回実施されます。日本の衆議院選挙と同じように考えるといいでしょう。
ただし、議会の解散が行われた場合には予定よりも早く選挙が行われることもあります。これも日本と同じですね。
またドイツの連邦議会選挙は小選挙区比例代表併用制を採用しています。有権者は2票を持ち、1票目(第1投票)で小選挙区の候補者を選び、2票目(第2投票)で政党名簿に投票します。
議席配分は主に第2投票の結果に基づきますが、超過議席(オーバーハング・シート)が発生することもあります。実際に前回2021年の選挙では想定議席598議席に対して735もの議席になり議論を呼びました。
そのため2023年には選挙制度が改正され、議席数の上限が630議席に設定され超過議席が廃止されました。この改正により政党の得票率が議席数により適切に反映される仕組みになりましたが議席数の変動があるため完全に比例するわけではありません。
- ドイツの国政選挙にあたる連邦議会選挙は4年に1回実施
- 小選挙区と比例選挙区で議員を選出
- 想定議席数は598で最大630まで超過議席が生じることがある(この部分は日本と異なる)
日本の衆議院に近い議会、選挙制度ではありますが異なっている部分もあると考えてください。
2025年ドイツ連邦議会選挙の結果
今回の2025年の選挙の結果は以下の通りです。
政党 | 選挙前議席合計 | 小選挙区議席(今回) | 比例議席(今回) | 選挙後議席(今回合計) |
---|---|---|---|---|
CDU/CSU (中道右派) |
197 | 125 | 85 | 210 |
AfD (極右) |
83 | 78 | 48 | 126 |
SPD (中道左派) |
206 | 63 | 38 | 101 |
緑の党 (左派) |
118 | 54 | 31 | 85 |
左翼党 (極左) |
39 | 28 | 25 | 53 |
FDP (中道右派) |
92 | 0 | 0 | 0 |
CDU/CSUが議席をやや伸ばし最多議席となっています。
次に極右政党と言われるAfDが大躍進。議席数は4番手から一気に2番手に上がっています。
逆に最大議席だったSPDは大きく議席を減らしています。
選挙結果の分析
選挙結果の分析は以下の通り。
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CDU/CSUの勝利
最大野党であるCDU/CSUが勝利し、党首のフリードリヒ・メルツ氏が次期首相に就任する見込みです。支持を拡大し、与党SPDの不信任の受け皿となりました。
AfDの躍進
極右政党AfDが大幅に議席を伸ばし、第2党となりました。特に若年層や労働者層の支持を集め移民政策や経済への不満が影響したと考えられます。
特に移民すなわち外国人による大きな事件が2024年には多発。殺人事件やテロ行為が行われでけが人や死者が多数出たことも大きかったと言えるでしょう。移民を受け入れたのが失敗だったという声が次第に大きくなっています。
ここ最近の選挙では世界的に移民問題により右派が勢力を伸ばすことが多いのですがドイツも同じ流れとなっています。
SPDの歴史的大敗
一方で与党SPDは100議席以上減少し大敗の結果となりました。経済政策やエネルギー政策への批判、連立内の対立が影響したと見られています。
具体的には「債務ブレーキ」と呼ばれる、年間の新規借入をGDPの0.35%以内に制限する規定を厳格に守ることについて批判の声が大きくなりました。
また世論の後押しを受け国策として原発を停止しましたが、結果として電気代が高騰、2023年の世論調査では「原発停止が間違っている」という意見の方が多くなっており4年前とは世論に大きな変化が見られ支持を失ったと思われます。
緑の党の苦戦
環境政策を重視する緑の党は議席を減らしました。特にエネルギー政策の転換や経済不安に対する対応が有権者に受け入れられなかった可能性があります。与党としての責任を問われた結果とも言えます。
左翼党の小幅な増加
左翼党(極左)はわずかに議席を増やしましたが、依然として支持基盤は限定的です。既存の政党に不満を持つ有権者の一部が支持したものの、政権与党への影響力は限定的です。
FDPの議席喪失
中道右派の自由民主党(FDP)は今回の選挙で議席を失いました。これは5%阻止条項をクリアできなかったためであり、連立政権の一角を担っていたものの経済政策の影響や他党との連携に関する不満が要因と考えられます。
今後のドイツ政治の展望
今回の選挙前、与党は社会民主党(SPD・中道左派)を中心とし緑の党(左派)と自由民主党(FDP・中道右派)とのやや左派寄りの三党連立(通称「信号連立」)を形成していました。しかし選挙結果によりSPDが大幅に議席を減らしFDPは議席を失うという厳しい結果となりました。3党共に議席を減らし3党合計で約400あった議席が半分の200以下となり完全崩壊と言ってよい状況。
このため、新たな連立の組み替えが必要になります。CDU/CSUは単独過半数を獲得できず、連立交渉を進める必要があります。従来のSPD・緑の党・FDPの連立が崩壊し、今後の政権は以下のような可能性が考えられます。
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CDU/CSU(中道右派) + 緑の党(左派):環境政策や経済政策で対立点はあるものの、穏健な中道政権を形成する可能性。
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CDU/CSU(中道右派) + SPD(中道左派)の大連立:過去にも行われたことがある組み合わせですが、SPDが大敗したため受け入れられるかが焦点。
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CDU/CSU (中道右派)+ FDP(中道右派):FDPが議席を獲得していれば可能性があったが、今回は実現不可能。
新たな連立の組み替えにより、ドイツの政治思想も変化していく可能性があります。
これまでのSPD中心の中道左派政策から、中道右派寄りの政策へと移行し特に経済政策や移民政策に変化が見られる可能性があります。
また、AfDの躍進によりこれまでタブー視されていた右派的な議論が政界で活発化する可能性もあります。
今後の連立交渉がどのような結果となるかがドイツの政治の行方を大きく左右するでしょう。
ともかくCDU/CSUは単独過半数を獲得できず連立交渉を進める必要があります。SPDや緑の党との連立が模索されるもののAfDの躍進が影響を及ぼす可能性があります(現時点ではAfDとの連立はないとしています)。
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まとめ
2025年ドイツ連邦議会選挙は、与党SPDの大敗、AfDの躍進、CDU/CSUの勝利という結果になりました。今後のドイツ政治は、連立交渉と極右勢力の影響がカギとなりそうです。
この記事のまとめ
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2025年2月23日ドイツ連邦議会選挙が行われた
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CDU/CSUが勝利し次期首相はフリードリヒ・メルツ氏の見込み
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極右とされるAfDが大躍進し第2党に、右派が議席を伸ばす世界的な動きと同じ
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SPDは歴史的大敗を喫しFDPは議席ゼロに
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これまでの「信号連立」が崩壊し、新たな連立交渉が必要
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中道右派寄りの政策へ移行する可能性が高い
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AfDの影響力が拡大し、右派的な議論が政界で活発化する可能性
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