近年、日本では法人税の減税が進められています。
一見すると企業にとって有利・優遇すぎるとも思える法人税減税ですが、実はその影響は企業だけでなく、日本経済全体にも及んでいます。簡単に良い悪いを語ることはできません。バランスが非常に難しい。
政党によっても意見が分かれており賛成する政党ももあれば反対する政党もあります。
法人税減税を進めてきたのは日本政府、すなわち自民党や公明党ですが反対する政党としては日本共産党などが挙げられます。
なぜ法人税を下げる必要があるのか?大企業と中小企業でどう違うのか?本記事では、法人税減税の背景や影響、そして日本経済への効果を詳しく解説します。
この記事を読むと分かること:
- 法人税減税の目的と背景
- 大企業と中小企業への影響の違い
- 法人税減税が日本経済に与える効果
- 法人税のパラドックスとは何か
- 今後の法人税政策の展望
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法人税減税とは?その目的と背景
法人税減税とは、文字通り法人税率を引き下げることを指します。
日本では2012年度に30%だった法人税率が2016年度には23.4%まで引き下げられました。
これは、日本企業の国際競争力を高め更には海外からの投資を呼び込むことを目的としています。
昨今では日本企業の国際競争力が下がっているとも言われそれは日本の将来に関わる大問題。大企業が苦しくなれば当然のことながら雇用や給与に影響があり私たちの生活にも大きな影響を与えます。
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法人税減税の主な目的
- 企業の税負担を軽減し利益を増やす
- 企業の国際競争力を強化する
- 海外企業の日本進出を促進する
- 経済成長を促進する
法人税率が高いと、企業は税負担を避けるために海外に拠点を移す可能性があります。これは「税源浸食」と呼ばれ、国の税収減少につながる問題です。
税率を上げれば短期的に見れば税収は上がりますがそれによって企業が税負担の少ない海外に拠点を移せば中長期的に見て税収の減少となります。もちろん税収を上げることによって企業が苦しくなればやはり税収は下がります。
法人税減税はこうした企業の海外流出を防ぎ中長期的な税収を見込む効果も期待されています。
大企業と中小企業への影響の違い
法人税減税は、大企業と中小企業で異なる影響を与えます。
大企業への影響
大企業は、法人税率の引き下げによって直接的な恩恵を受けます。税負担が軽減されることで、以下のような効果が期待されます:
- 利益の増加
- 研究開発投資の拡大
- 従業員の賃上げ
- 株主への配当増加
しかし、単純に税率を下げるだけでなく、大企業向けの特別な税優遇措置も設けられています。例えば、賃上げや設備投資を行った企業に対する税額控除などがあります。
中小企業への影響
中小企業に対しても手厚い優遇措置が用意されています。具体的には以下のようなものがあります:
- 軽減税率の適用(年800万円以下の所得に対して15%の税率)
- 中小企業投資促進税制(設備投資に対する税額控除や特別償却)
- 研究開発税制(研究開発費の一部を税額控除)
これらの措置により、中小企業の成長や競争力強化を後押しすることが期待されています。
法人税減税が日本経済に与える効果
法人税減税は、単に企業の税負担を軽減するだけでなく日本経済全体にも大きな影響を与えます。
プラスの効果
- 企業の投資拡大による経済成長
- 雇用の増加と賃金上昇
- 海外企業の日本進出による経済活性化
- 国際競争力の向上
懸念される点
- 税収の減少
- 財政赤字の拡大
- 社会保障費の削減圧力
法人税減税によって一時的に税収が減少する可能性はありますが、長期的には経済成長によって税収が増加することが期待されています。これは「法人税のパラドックス」と呼ばれる現象です。
もちろん下げ過ぎても上げ過ぎても問題はあるでしょう。バランスが大事になってきます。
法人税のパラドックスとは?
法人税のパラドックスとは、法人税率を引き下げたにもかかわらず、税収が増加する現象を指します。これは以下のようなメカニズムで起こると考えられています:
- 法人税率の引き下げにより、企業の税負担が軽減される
- 企業は余剰資金を投資や賃上げに回す
- 経済が活性化し、企業の利益が増加する
- 結果として、税率は下がっても課税ベース(企業の利益)が拡大し、税収が増加する
ただし、このパラドックスが必ず起こるわけではありません。経済状況や他の政策との組み合わせによって、効果は変わってきます。
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課税ベースの拡大と実効税率
法人税率の引き下げと同時に、課税ベースの拡大も進められています。これは、税率は下げつつも、実質的な税負担を維持するための措置です。
課税ベース拡大の例
- 欠損金の繰越控除制度の制限
- 租税特別措置の見直し
- 外形標準課税の拡大
これらの措置により、法人税の実効税率(実質的な税負担率)は、表面上の税率ほどには下がっていない可能性があります。企業は、単純な税率だけでなく、実効税率も考慮に入れて経営判断を行う必要があります。
国際比較から見る日本の法人税
日本の法人税率は、過去20年間で大幅に引き下げられてきました。しかし、国際的に見るとまだ高い水準にあると言えます。
国 | 法人税率(2021年) |
日本 | 29.74% |
アメリカ | 21% |
イギリス | 19% |
ドイツ | 29.94% |
フランス | 26.5% |
シンガポール | 17% |
このような国際比較を踏まえ、日本政府は引き続き法人税率の引き下げを検討しています。
ただし、単純な引き下げだけでなく、課税ベースの拡大や優遇措置の見直しなど、バランスの取れた税制改革が求められています。
今後の法人税政策の展望
法人税減税は、日本経済の活性化と国際競争力の強化を目指す重要な政策です。しかし、その効果を最大化するためには、以下のような点に注意が必要です:
- 大企業と中小企業のバランスの取れた優遇措置
- 課税ベースの適切な設定
- 国際的な税制の調和
- デジタル経済への対応
特に、近年のデジタル経済の発展に伴い、従来の法人税制では対応しきれない新たな課題も生じています。例えば、国境を越えたデジタルサービスへの課税をどうするかなど、国際的な協調が求められる問題も増えています。
また、法人税減税の効果を最大化するためには、単に税率を下げるだけでなく、規制緩和や行政手続きの簡素化など、ビジネス環境全体の改善も重要です。
まとめ:法人税減税の意義と課題
法人税減税は、日本経済の活性化と国際競争力の強化を目指す重要な政策です。
大企業、中小企業それぞれに異なる影響を与え、経済全体にも波及効果をもたらします。
しかし、その効果を最大化するためには、単純な税率引き下げだけでなく、課税ベースの適切な設定や、国際的な税制の調和など、多角的なアプローチが必要です。
また、法人税減税の効果は即座に現れるものではありません。中長期的な視点で経済政策全体を設計し、継続的に評価・改善していくことが重要です。
そして法人税減税は、日本経済の未来を左右する重要な政策です。その効果と課題を正しく理解し、適切な判断を下していくことが、私たち一人一人に求められています。
この記事のまとめ:
- 法人税減税は企業の国際競争力強化と経済成長を目的としている
- 大企業と中小企業で異なる影響があり、それぞれに適した優遇措置がある
- 法人税のパラドックスにより、減税が税収増につながる可能性がある
- 課税ベースの拡大と実効税率の考慮が重要
- 国際的な税制の調和やデジタル経済への対応が今後の課題
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