イギリスの選挙が今、大きな話題となっています。2025年5月1日の地方選挙では、右派の新星リフォームUKが大躍進し、主要2大政党と言われる労働党と保守党が歴史的な大敗を喫しました。
この選挙結果は、英国政治の「二大政党制」の終焉を予感させ、ナイジェル・ファラージ氏の勢いが止まりません。一体、イギリスの選挙はどういう仕組みで、今回の結果はどう変わったのか?
次の総選挙はいつ?この記事では、イギリス選挙の基本から最新の議席変化、未来の展望まで、わかりやすく解説します。政治に詳しくなくても、楽しく読める内容なので、ぜひ最後までチェックしてください!
この記事を読むと分かること
- イギリス選挙の仕組み(下院・地方選挙などの違い)
- 2025年地方選挙の結果と議席数の変化
- リフォームUKの躍進と二大政党の苦戦
- 次の総選挙の予定と注目ポイント
目次
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イギリス選挙の仕組みをサクッと解説!
イギリスの選挙も国政から地方まで住民の生活に直結する重要なイベントです。
そしてイギリスの選挙は主に2つのレベルに分かれます。それぞれの特徴を日本の選挙と比較してチェックしましょう。
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下院選挙(2025年5月1日は補欠選挙のみ)
下院(House of Commons)は、英国議会の心臓部。国全体の法律や予算を決め、首相を選びます。
日本でいうところの国会議員で衆議院議員に相当すると考えるといいでしょう。ただし日本での小選挙区選挙に近い仕組みの選挙のみで比例選挙はないので大きな政党に特に有利と言われています。
以下がポイントです:
- 議席数:650の選挙区から各1人の議員(MP)が選ばれる
- 選挙方式:第一過去最多得票方式(日本でいうところの小選挙区に近いイメージ)。一番票を取った候補が当選
- 特徴:資金規制が厳しく、候補者の選挙費用は上限あり(約1万~2万ポンド)。地元密着のキャンペーンが鍵!
(2025年5月1日は補選が行われました)
地方議会選挙
地方議会(カウンシル)は、身近なサービス(教育、ごみ収集、道路整備)を担当。2025年5月の選挙もこのタイプです。
イメージ的には日本の地方議会と近い。特徴や課題も似ていますが日本の議会選挙は大選挙区制であるのに対して(例:1選挙区で議員20人など)、イギリスでは小選挙区に近い形が基本です(1選挙区で1議席)。
特徴は:
- 対象:郡議会(County Councils)、単一自治体(Unitary Authorities)など。イングランドに317の自治体あり
- 選挙方式:第一過去最多得票方式(日本でいうところの小選挙区に近いイメージ)。4年周期で全議席一括または3分の1ずつ選出
- 役割:教育、福祉、住宅など。財政難(2022/23年で594億ポンド支出)が課題
- 投票率:30~40%と低め。国政選挙(平均66%)より関心が薄い
その他の選挙
地方議会以外にも以下のような選挙があります:
- 市長選挙:地域市長(例:グレーターリンカンシャー)や単一自治体市長(例:ドンカスター)を選択
- 警察・犯罪コミッショナー:治安責任者を選ぶ
- 特殊な選挙:アイランズ・オブ・シリーやシティ・オブ・ロンドンの選挙
注意:イギリスでは上院(貴族院)もありますが選挙がありません。議員は任命制で、世襲貴族や終身貴族が務めます。日本の参議院と役割が近い部分はありますが選挙がないということで大きく異なります。
2025年地方選挙の衝撃結果!リフォームUKが歴史的勝利
2025年5月1日の地方選挙は、英国政治に激震を走らせました。リフォームUKが大躍進し、労働党と保守党が大敗。
この結果は「二大政党制の終焉」と言われるほど!何が起こったのか、詳しく見ていきましょう。
選挙の概要
- 実施日:2025年5月1日
- 対象:24の郡議会・単一自治体で約1650議席、6つの市長選挙、Runcorn and Helsby下院補選
- 有権者:約1500万人
- 背景:労働党政権(2024年7月発足)初の主要選挙。経済停滞、増税、移民問題への不満が高まる中での実施
選挙結果と議席数の変化
リフォームUKが677議席を獲得し、10のカウンシルで過半数を制覇。労働党と保守党は過去最悪の結果に。以下は、主要政党の議席変化の表です(2021年比、ノーショナル変化ベース):
政党 | 選挙前議席 | 選挙後議席 | 変化 | カウンシル制覇 |
---|---|---|---|---|
リフォームUK | 0 | 677 | +677 | 10(例:ケント、ランカシャー) |
自由民主党 | 207 | 370 | +163 | 3(ケンブリッジシャーなど) |
保守党 | 994 | 317 | -677 | 0 |
労働党 | 287 | 99 | -188 | 0 |
緑の党 | 38 | 79 | +41 | 0 |
出典:BBC、The Independent
(https://www.bbc.com/news/articles/cd925jk27k0o)(https://www.independent.co.uk/news/uk/politics/local-elections-2025-results-map-reform-labour-council-mayors-runcorn-b2744261.html)
(注:リフォームUKが勝利したと話題になっていますが現実にはイギリスの議会は約20000あるとされており、今回の改選は約1650で割合的にはわずかです。全体から見た議席数で言えばリフォームUKの影響力はまだ限定的。また日本の国会に相当する下院におけるリフォームUKの議席は650議席中5議席で割合は0.8%と影響力は更に限定的となっています)
市長選挙と補選の結果
-
- 市長選挙:
⇒リフォームUK:2勝(グレーターリンカンシャー:アンドレア・ジェンキンス、42%/ハル・イーストヨークシャー:ルーク・キャンベル、36%)
⇒ 労働党:3勝(ウエスト・オブ・イングランド、ノース・タインサイド、ドンカスター)
⇒保守党:1勝(ケンブリッジシャー・ピーターバラ) - Runcorn and Helsby補選
リフォームUKのサラ・ポチン候補が労働党から議席奪取(38.7%、6票差の僅差)。1945年以来最も僅差の勝利!
- 市長選挙:
なぜリフォームUKが勝った?背景をチェック
リフォームUKの快進撃の裏には、こんな理由があります:
- 二大政党への不満:労働党の増税(例:冬季燃料手当の削減)や経済停滞、保守党の指導力不足(ケミ・バデノック党首への疑問)が反発を招いた
- 移民問題:リフォームUKの「移民ゼロ」政策が、不法移民への懸念を持つ有権者に響いた
- ナイジェル・ファラージの影響力:トランプ支持者としても知られるファラージ氏のキャンペーン(例:3月28日バーミンガムイベント)が話題に
- 低投票率:30%未満の投票率が、不満を持つ有権者の声を小政党に集中させた
専門家のジョン・カーティス教授は、「リフォームUKは最多得票、最多議席、最多カウンシルを圧倒的に獲得」と評し、英国政治の「構造的地殻変動」と表現しました。
(https://x.com/BBCPolitics/status/1918944025249206517)
議席変化が示す英国政治の未来
今回の選挙で、英国政治の風景は大きく変わりました。二大政党制の崩壊、リフォームUKの台頭、自由民主党や緑の党の躍進…これが何を意味するのか、見てみましょう。
二大政党制の終焉?
労働党と保守党の合計得票率は過去最低の35%(BBC推計)。これは、80年間で最も低い数字です。
(https://www.bbc.com/news/articles/cd925jk27k0o)
- 労働党の課題:ケイア・スターマー首相の「変革の遅さ」や、障害者手当削減への批判が響いた。ドンカスターの市長選は辛勝(698票差)
- 保守党の危機:15カウンシル全て喪失。ケミ・バデノック党首は「再生は始まったばかり」とコメントしたが、党内ではリーダー交代の声も
- 新勢力の台頭:リフォームUK(31%)、自由民主党、緑の党が支持を伸ばし、政治の多極化が進む
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リフォームUKの今後
リフォームUKは、地方での成功を国政にどうつなげるかが鍵。第一過去最多得票方式は小政党に不利ですが、ファラージ氏は「次は総選挙勝利」と意気込みます。
- 強み:反移民や反増税のメッセージが地方で共感。Xでも「リフォームは国民の声」との支持が目立つ
- 課題:得票率(2024年総選挙で14%)を議席に変換しづらい選挙制度
(先にも紹介したように今回の選挙は全体から見ればほんの一部です。次の総選挙などで勝たなければ影響力は限定的と言えるでしょう。イギリス全体で見ると現時点ではまだ2大政党が強いという勢力図に大きな変化はありません)
次の選挙はいつ?今後の注目ポイント
2025年地方選挙の結果を受けて、次の選挙がどうなるか気になりますよね!今後の予定と注目ポイントをまとめます。
次の総選挙の予定
- 時期:最遅で2029年8月15日(議会開会から5年後)。ただし、首相の判断で早期選挙もあり得る(例:2017年、2019年)
- 背景:労働党の低支持率(2025年地方選で20%)とリフォームUKの勢いが、早期選挙の可能性を高める
ちなみに現在の下院の議席数は以下の通り。2024年7月に選挙がありましたがこの時は労働党が大勝し単独で圧倒的な過半数を取っています。
政党 | 得票率 (%) | 得票数 (推計、万) | 議席数 | 議席率 (%) | 2019年比議席増減 |
---|---|---|---|---|---|
労働党 (Labour) | 33.7 | 約977 | 412 | 63.4 | +211 |
保守党 (Conservative) | 23.7 | 約688 | 121 | 18.6 | -244 |
リフォームUK (Reform UK) | 14.3 | 約414 | 5 | 0.8 | +5 |
自由民主党 (Liberal Democrats) | 12.2 | 約354 | 72 | 11.1 | +61 |
緑の党 (Green Party) | 6.7 | 約194 | 4 | 0.6 | +3 |
スコットランド国民党 (SNP) | 2.5 | 約73 | 9 | 1.4 | -39 |
しかしながら現在の支持率は20%程度と低く。現在の状況が続くと次の選挙では大きく議席を失う可能性があります。
2026年地方選挙
- 対象:2025年延期の9カウンシル(ノーフォーク、サフォークなど)や、その他の自治体。地方自治再編が影響
- 注目:リフォームUKが勢いを維持できるか、労働党が巻き返せるか
[](https://en.m.wikipedia.org/wiki/2025_United_Kingdom_local_elections)
注目ポイント
- リフォームUKの戦略:ファラージ氏がどう国政に進出するか。保守党との連携議論も浮上(現時点で却下)
- 労働党の対応:スターマー首相の政策転換(例:移民政策の強化)が焦点。党内分裂もリスク
- 選挙制度の議論:第一過去最多得票方式の不均衡(例:リフォームUKの得票14%で議席5)が改革論を加速
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まとめ:イギリス選挙の今とこれから
イギリスの選挙は、下院選挙と地方議会選挙を中心に、国民の声を政治に反映します。
今回の2025年5月の地方選挙では、リフォームUKの677議席獲得が二大政党制に衝撃を与え、労働党と保守党は過去最悪の敗北となりました。
議席全体から見ればリフォームUKの影響力はまだ限定的ではありますが、今後もこの流れが継続するようであればイギリスの政治は大きく変っていくと言えるでしょう。
経済不満や移民問題が背景にあり、英国政治は多極化へ向かっています。
次の総選挙(2029年まで)や2026年地方選挙では、リフォームUKの勢いと労働党や保守党の巻き返しが注目です!
この記事のまとめ
- イギリス選挙は下院(総選挙・補選)と地方議会選挙が中心。上院は任命制
- 2025年地方選挙でリフォームUKが約1650議席中677議席を獲得し勝利。労働党・保守党が大敗
- 二大政党制が揺らぎ、自由民主党や緑の党も躍進
- 次の総選挙は2029年8月まで。リフォームUKの国政進出にも注目
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